2017年3月24日

お知らせ

〈るんびにぃ美術館〉
命は創造をやめない
〜震災を超えて生まれるものたち〜

岩手県花巻市星ヶ丘1-21-29
後援・岩手県教育委員会他

1月12日〜3月17日まで。




来場者数が多く好評につき、約1ヶ月、会期が延長されています。引き続き、「おもかげ復元師の震災絵日記」からパネルを一部、展示しています。

お時間がありましたら是非、足をお運びくださいませ。

マンツーマンセミナー

香川県から、一ヶ月間のマンツーマンセミナーにお越しになり、昨日終えました。

毎日、勉強と特訓の連続でしたが、通常専門として多く現場で求められる止血、体液止めなどのイレギュラー処置、死後変化を起こさないための知識と安置、表情を戻すための作るのではなく戻すという理論と実践、体の仕組みや様々に専門的なお勉強を終えました。

加えて、「死」という存在がある現場での暗黙のルール、日本の文化として存在し現場で大切にされているしきたりや風習などを含めて、コミニュケーションの基本を習得されました。

項目は、たくさんありましたが、最初は全然出来なかった一つ一つも、実践で出来るようになりました。本当に、よくここまで頑張って、特訓も最後までやり遂げました。

色々な出会いの度に、力を注ぎたくなることと向き合うので、多少目的が揺れ、遠回りしながら又、目的に戻ります。その遠回りが、その人の素敵さを育ててくれて、目的にただ戻るのではなく、遠回りの中で人の思いに触れて色んなことを得て、スタートに戻るのだと思います。

マンツーマンセミナーは、そういうお一人おひとりとの出会いの場なのかもしれません。

一ヶ月間、大変お疲れさまでした。「帰りたくない」と、号泣しながら帰られましたが、残される方もなかなか寂しいものです。現場が立て込み、最後は弊社の職員全員に会ってのお別れは叶いませんでしたが、そういうお仕事なので、ご理解いただいていました。新たな門出を祝って。又、お待ちしています。

追伸、
マンツーマンセミナーは、コースに分かれていて選んでいただきます。学びに来られる方に合わせて、カリキュラムを組みます。初日に私と面談をさせていただきますので、不安なところはそこで伺っております。

現在、大変混み合っていますので、メールにて詳細はお問い合わせくださいませ。私も納棺現場、緊急出動現場、遺族訪問、生前予約、講演、学校のいのちの授業、原稿、いのち新聞の活動などの仕事を抱えていますので、日程調整のご相談については、ご了承いただけると助かります。

岩手県はゴールデンウィーク頃に向けて、桜が咲きます。春の訪れを感じながら、マンツーマンセミナーを受講される、皆さまのお越しをお待ち致しております。


名古屋にて。

18日、名古屋に伺いました。当日の岩手県北上市の気温は、8℃で風があると寒さを感じました。名古屋の気温は、17℃で梅が満開、桜の花が色付き始めた話が出ています。

真宗大谷派名古屋教区22組同朋大会、200名の僧侶、坊守さん(お寺の奥さま)、門徒さま皆さまに、80分の講演をさせていただきました。

大切な人とお別れをするとき・・・。多くのお別れにご縁をいただき、私もご遺族お一人おひとりから様々なことを教えていただいて、今に至ります。出会うことは、想い出を積み重ねること。そういうことなのかもしれません。

私のご先祖さんの話しも、少しさせていただきました。

小さな頃から聞いて育った、父方の曽祖父(ひいおじいちゃん)。北海道の鰊で栄えた鰊御殿で有名な沿岸部の一つの町の村長でしたが、潮の影響で急に鰊がとれなくなり、町の人たちは急に生活が出来なくなりました。それはすさまじく、悲惨な光景だったと聞きました。

村長だったひいおじいちゃんが一番最初にしたことは、地元のお寺を守ること。村長は開拓と繁栄を、お寺は人々の生活と心を守ること、当時お寺さんと二人三脚だったのだと、私は聞いて育ちました。

母方の先祖は山伏、昔のお坊さんです。山伏が1人いると村が栄えたそうで、生活の基盤の土木工事、食べて行くための農業、薬草を煎じて病から救う薬学、人を慰める芸事も踊りや笛や太鼓に、様々な知識に長けていたと。本業はお坊さんなので、飢餓で苦しんだ時代には、飢えで野垂れ死なれた遺体を川で洗い、むしろを掛けて病気が感染しないように、お経を上げて焼いた(火葬)と聞いて育ちました。

子孫である私が今、こうして生きていて。成人してから、「あなたのひいおじいさんに」「あなたの先祖さんに」助けてもらったのだと声を掛けられることがあるということです。

知らない人から声を掛けられ、当時の話を昔話の中で聞くご縁。人を介して会ったことのないご先祖さんに、会えた気がする不思議な時間に巡り合っています。

人の魂がどうなるのかは、私には分かりませんが、人ひとりが起こした行動や思いは、時を経て巡るものだと、教えられます。

では自分はどうなのか。ご先祖さんのように、子孫に顔向けできるような、お手本になれるような、そんな生き方をしたいと思うのは、自然なことなのかもしれません。

自分に自信のない時は、「ご先祖さんの遺伝子に恥じないように」。と、遺伝子が、御守りになっています。

そのような内容で、お話しをさせていただきましたが、何せお寺さんに通われている高齢の皆さんは、普段の納棺現場もそうですが、勉強熱心なので色々な知識をお持ちです。ペーペーの私が、高齢者の前でお話しをすることは、実はとても大変なことなのです。が、みなさん熱心に聞いてくださっていました。

みなさんの温かい雰囲気に包まれて終えた、講演でした。沢山お声も掛けて頂いて、本当にお世話になりました。自分の人生を振り返る、ステキなきっかけをいただきました。ありがとうございました。

2017年3月15日

子ども夢ハウスおおつち

3月20日、

NHKスペシャルで放送決定!!

是非、ご覧ください!!

震災、写真展・パネル展

多くの皆さまにご支援いただき、ご来場いただきました。ありがとうございました。

おかげさまで、11日、12日の二日間で述べ、300名弱の方々にご来場いただきました。

昨年まではマイクを使って、いのち新聞のメンバーと対談形式で話す時間が数回あったパネル展。対談も人気でしたが、

今年は、対談用にみんなで準備したマイクも使うことなく、

会場内で声を掛けていただくことが多かったため、一組ずつ一緒に歩きながら、写真の一枚一枚について、ご説明させていただき、皆さんの体験や思いを伺わせていただくという時間が多くありました。

写真やパネルを見終わった皆さんと、懇談テーブルで、ゆっくりお話しさせていただいた時間も、多くありました。

これまでとは少し違う、深まったお話が皆さんと出来たのも、

今回は初めて岩手県警察本部から、特別に70枚のお写真をお借り出来たことに、とても意味があったねと、いのち新聞のみんなと話していました。

実は二日間でのべ10名の警察官の皆さんが、東日本大震災のときに警察管轄の安置所で検視をしてくださった刑事さん(震災のことは、いつも多くを語られません)の采配で、当直明けだったり、お休みを利用して、会場の設置と撤収のお手伝いをしていただきました。

警察本部でも貸し出しにご協力いただいたのは、震災を経験され、ずっと被災地で御尽力いただいた、警察幹部の方でした。





「忘れない」

という言葉には、

「思い出す」という作業が相互の関係になっています。

「思い出す」作業の中には、一人ひとりの価値や、感性などの思いがあります。

いのち新聞が開催させていただいた今回の会場内では、

「弱みを見せて、良い場所なんだね。」

多くの皆さんに、声を掛けていただいたのが、印象的でした。

「弱み」と「強さ」の関係性・・・。弱さを知った人は、守るべきものがあることを見付けますから、きっと比例するのかな?皆さんと色々お話しして、私たちいのち新聞が、少しでも皆さんのお役に立てたこと、嬉しいなと、皆さん素敵だなぁと思いました。




会場にお越しいただいた方々の言葉です。

「被災者の友人と、今日は来ました。友人が、どんな光景を見て、どのくらいの悲しみの深さを持っているのか知りたかった。全部は分からないけど、来て良かった。もっと仲良くなれると思う。おかげさまでした。」お隣で、それを聞いたご友人が「ありがとう」と何度も涙を拭って泣いておられました。

「お父さんが、警察官です。震災のとき、ずっとお家に居なかったし、帰って来ても元気がなかったから、心配していました。でも、今日はお父さんが、どんなことをしていたのか、よく分かったから、これからもお父さんを応援します。」小学生の子でした。お母さんは、ずっと写真展を見て、泣きっぱなしでした。お母さんが声を掛けて、親子で写真展の会場にお出でいただいたとのこと。素敵な親子でした。

などなど、皆さんと沢山お話しさせていただきました。

沿岸各地から、多くのメッセージもいただき、貼り出しました。会場にお越しいただいた被災者の皆さんが、沿岸からお越しいただいた皆さんも、メッセージを書いて、貼り付けてくれました。

夢であって欲しい・・・。と願うことは、悲しみの中にいつも存在しています。現実に起きたことを、自分の中にどのように組み込めば良いのか・・・。みんな、悩みます。

警察管轄の安置所で、被災者の皆さんが感じたことを、これまで多く聞き取りをして来て、

警察本部からお借りした写真と、震災絵日記のパネルを並べたのには、

あの時の安置所の中の、人の温もりの部分を再現したかったという理由も、実はありました。多くの皆さんにメッセージを貼り付けてもらったことで、みんなで共有出来たと思います。

今年は七回忌。法要がある年は、拝んでもらえるからなのか少し落ち着いている感じ。でも、今年は雪が降り、余震も続いたから、またあの時の記憶が、怖さと一緒に思い出された。2時46分のサイレンは、これまでのことが蘇り涙が止まらなかった。

今年の命日に、多くの皆さんが共通してお話ししてくれた内容でした。

今年は小学生や中学生、高校生の来場者も多かったこと、次の世代の皆さんも知ろうとしてくれていることに、私たちも励まされました。

多くの皆さんのお力をいただき、無事に終えることが出来ました。本当に、ありがとうございました。



写真展、おまけ話し

〜おまけ〜
来場者数は、残った紙コップを数えようということで、会議で話していました。涙を流すとき、人は頭の中で色々考えるから、甘い飲み物が良いだろうか?いのち新聞のみんなで、そんな話し合いをしていました。

紙コップは400個、用意しました。

1日目を無事に終えて家に帰ると、我が家のじいちゃん。

じじ「おれ、あんな小さな紙コップを見たのは初めてだったのさ!」

私「うん。大きすぎると、飲むのも大変かなって、小さいのにしたんだよ。」

じじ「おれ、あんまりちっちゃくて可愛い紙コップだったから、3つもらって来ちゃった!」

私「なにー⁉︎紙コップで来場者数を数えてたのに!」

じじ「じじがもらった紙コップは、カウントしないって言ってたよ(笑)テヘッ。」

1日目は、中学生の皆さんがお手伝いをしてくれていました。中学生、やんちゃなじいちゃんの相手もしてくれて、臨機応変な対応が出来て、優秀だなぁ〜☆彡と、感動した笹原さんでした。

じじの感想です。
「おれ、二日間会場に行ったけどね、1日目と2日目で感じたことは、少し違ったよ。1日目は、震災のことを感じた。2日目は個人的に感じたことを考えた。

じじみたいなさ、普段外に出ない、頑固で自分の考えを曲げないタイプの年寄りはさ、やっぱりさ、警察本部から特別に借りた写真が見たかったんだよね。それで、自分で感じて考えたい。普段は絶対にお目にかかれないでしょ。警察本部からなんて、絶対に借りれないんだもの。

おれね、行って良かったよ。冥土の土産(感動した時のじじの口ぐせ)をもらった感じ。おれが死んだら、あっちの世界にいるみんなに話してあげようと思うのさ。いつだって、話題を持ってないと人とつながれないものね。」

じじの目から、キラキラしたものが流れていました。

「だけどよ、こっちから見たらあの世ってよ、あの世からこっち見たら、こっちがあの世なのか?」

お目々キラキラ、じいちゃんの問いは毎日こんな感じで続きます(笑)

どんど晴れ。